持 ち 帰 れ な い 名 物 を 味 わ う

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蕎    麦   ( そ ば )

 蕎麦は、米の育たない痩せた土地に、止むなく植えるといわれる。 昼と夜の温度差が大きく日照時間も少なくても育ち、土地がやせていても収穫できる。
 全国的に、米の代用食として、栽培されてきた。

 しかし、会津、少なくとも若松周辺は、古来より豊かな穀倉地帯。
 蕎麦は、れっきとした穀物の一つであって、むしろ特別な時に食べられる「ご馳走」であった。
 お祝いごとには必ず「そば」が出され、米の代用食ではない。

 蕎麦の栽培面積・収穫量ともに人口当たりに換算すると、会津は全国第1位である。
 山に囲まれた内陸の地は、まさに最適の条件を備えた土地が、たくさんある。
 会津のどこへ行っても“美味しいそば”があると、そば通に太鼓判を押される由縁である。

《会津のかおり》
 平成19(2007)年、血管強化作用や抗酸化作用に効果のあるルチンが、従来種より3割も多く含む新しい品種「会津のかおり」がデビューし、翌年から本格始動。
 平成21(2009)年3月16日、「会津のかおり」として品種登録された。
 新そばの出る季節には、各地で「新そば祭り」が開催される。
 日程については、「 」を参照。

 会津独特の「そば口上」も、引き継がれている。
 そば切りの技法は、保科正之公の入府により伝えられたという。
 江戸時代には、蕎麦の実の芯だけで作る透き通ったそばが流行した。
 ぜいたく過ぎるとの理由で、禁止令が出たほどである。

 全体的に、いわゆる“田舎そば”ではあるが、蕎麦粉100%で殻が練り込んであるものも多い。
 つなぎを使わないため、長さは20センチと短かめである。
 短い分、コシ強くなっていて食べやすく本来のそばであるが、食べ方には各地区によって独特のものがある。

会津高遠そば

 “アザキ大根”という辛い大根おろしの絞り汁を、そばつゆとして食べる。 会津地方に伝わる独特な食べ方である。
 地元では,単に高遠そばといわれていたが、本家の信州に逆輸入されてしまったため、最近は“会津”を付けている。
 名称「高遠そば」の発祥地は、会津である。
 藩主保名家の出身地になぞらえたもので、高遠から伝わったものではない。
 そばのぜいたくな食べ方の“ご法度”が出た際、辛味を入れて、“お殿さまのそば”と揶揄したことからとも聞いている。
 現在では、シンプルな食べ方ゆえ、そば本来の香り・旨さが楽しめると全国に広がっている。

アザキ大根 ≪アザキ大根≫
 会津西域の只見川上流の火山灰台地に自生していたもの。
 長さ15cmほどの大根で辛みが強いのが特徴で、根がびっしりついている。 大根に似てはいるが、おろして食べる以外は固くて食べられず、“あざむく”ことから名付けられたという。
 会津伝統野菜の1つで、旬は11月から12月中旬。
 普通の大根よりカリウムやビタミンAやカロテンを豊富に含んでおり、ビタミンCは10倍もある。
 戦前は、主に会津地方で採種し、東北6県や北陸、長野などで広く栽培されていたが、昭和30年代初めごろ現在の大根へと移り衰退した。
 今も金山町では栽培されており、道の駅/奥会津かねやま「こぶし館」で食べることができる。

 辛味大根とも違うが、現在は辛味の強い大根を総称して使っているようだ。
 大内宿では、箸の代わりに1本のネギ1本がつくユニークな店が、人気になっている。
 そばをネギで たぐり寄せ、そばを食べつつ、ネギをかじる。
 “そば口上”の仕草から、きているという。
 [閑話]

山都そば

 会津の北西部に位置する旧/山都町で産する真っ白いそば。  古来より、蕎麦処/会津の中でも、“山都そば”は特に美味しいといわれている。
 標高が高いため昼夜の寒暖の差が大きく、飯豊山から湧き出るミネラルをたっぷり含む朝霧のたつ耕地で栽培されているからである。

 そばを味わうには、「山都町内」と「宮古地区」がある。
 「山都町内」は伝統のあるそば店が多く、「宮古地区」は全戸数30戸ほどの内、半数近くが座敷を解放して営業している。
 注文を受けてからそばを打つ店が多く、時間にゆとりを持って味わいたい。
 蕎麦の栽培から、製粉、そば打ちまでを紹介している飯豊とそばの里センターもある。
 山都町のそば店は、こちら。


 毎年2月中旬ごろ、玄蕎麦の寒晒し作業が行われる。
 積雪と雪の舞い寒風が吹き付ける中、大ざるにさらし布を敷いて、川に浸しておいた玄蕎麦を引き上げた広げ、ごみなどを取り除く作業。
 このことで、さらに風味が増し“幻のそば”といわれる。
 昔は、将軍家にも献上された。
 3月に、「寒晒しそばまつり」が行われる。
 令和4(2022)年度の文化庁/100年フードに認定

≪水そば≫
 山都宮古での独特なそばの食べ方で、この地に湧き出る水だけで味わう。
 実を6〜7割程度まで磨き、つなぎは一切使わず、コシのある真白い蕎麦粉を手打ちする。
 会津の北にそびえる飯豊連峰の伏流水が、おりなす逸品である。
 古来より、湧き出るミネラルをたっぷり含んだ地下水が、最高の蕎麦の実を育てている。
 現在のそば屋では、名水とともに“つけ汁”も出てくるが、なぜか水だけの方が、ほのかに甘く美味しく感じる。
 ぜひ、ご賞味あれ。
 [閑話]

祝言そば    

 会津地方での祝言の際には、「そば口上」にのせて、必ずそばが振る舞われる。 会津での“祝言”とは結婚式のことで、現在でも行われている。
 会津各地でも行われているが、全国的には猪苗代町のものが名物になっている。
 猪苗代町は、日本有数の蕎麦の産地としても有名。
 平安時代後期頃の古代そばが出土するほどの歴史があり、「蕎麦の里」を宣言している。
 山鳥とゴボウでダシを取った温かいそばととして、薬味のネギをのせ出される。

 「そば口上」は、“会津万歳”に由来するといわれる。
 南会津以外の地区には、その地独特の語りはあるが、最初の出だしは似ている。

      東西東西(とざいとざい)、ちょっと鳴り物止め置きまして、
      ほほのほうと誉めましょう。
      ほめましょう。
      さて本日、御当家の御祝い、〜〜〜〜〜
                (「会津そば口上」歴史春秋社より)

五段そば  

  1.大根おろしと鷹の爪
  2.ひきわり納豆
  3.ごまとくるみ
  4.しいたけとゆず
  5.ねぎと七味
の5種類の薬味による冷たいそばを楽しむ。

檜枝岐そば(裁ちそば)  

まる家(檜枝岐)のもりそば(裁ちそば)

 平家落人の里と伝えられる檜枝岐村のそば。  蕎麦殻が多めに練り込んである太めのそばで、本来の風味が楽しめる。
 つなぎを使わない“蕎麦粉100%”のため、粘りをだすために最初は熱湯を使う。
 こねあがったものを、大人のこぶし大にちぎり、丸く伸ばす。
 厚さ3ミリ程度にのばし、5〜10枚程度を重ねて包丁で切る。
 布を裁つようにして切ることから、「裁ちそば」と呼ばれる。

 檜枝岐には、そばを使った 「ねりもち」、「ひきもち」、「グミねり」、「ぜんびん」、「祝いのひら」、「おしとげ」、「おっきり」、「酒やきもち」、「たらし」 などの独特な食べ方がある。
 米がとれない土地のため、先人たちは工夫して味わっていた。

博士そば、博士山赤そば  

 博士山の麓で栽培された蕎麦粉100%の手打ちそば。
 コシが強く、山の香り高い。
 柳津町観光物産館「清柳苑」で味わえる。


磐梯そば  

 磐梯町および周辺で収穫されるそば。
 磐梯高原の気候風土育てた蕎麦粉を挽き、名水百選の磐梯山伏流水で打ち、茹でた手打ちそばは、絶品の味わい。
 磐梯山の山麓は、「昼夜の温度差が大きいこと、ほどほどの日照時間であること、山間部で空気の澄んでいること」の、すべてそろっている大産地でもある。
 板に打ち付けて延ばす独特の打ち方が特徴であり、のど越しと歯ごたえが抜群。
会津磐梯そば道場
 ・手打ちそば処 会津磐梯そば道場
   (磐梯町大字磐梯字十王堂2038 Tel. 0242-73-3436)
   そば打ち体験もでき、県外からの参加者も多い。
   ここで教わった人が、全国大会で入賞する実績も多い。


会津高原そば  

 南会津地方で収穫される蕎麦。
 標高500〜800メートルと高く、夏は涼しく朝霧が立ち込めことから会津高原と称されている。
 花の咲く9月ごろは、特に寒暖の差が大きく、蕎麦の実がしまり、甘みが増すという。
 この地は会津の極寒の地のため、蕎麦粉を使って美味しく味わう様々な食べ方がある。 少し前までは、そば打ちが嫁入り前のたしなみとされていた。

はっとう(そぱ餅)

はっとう(そぱ餅)

 蕎麦粉と餅米粉を1:1の割合で混ぜ、3〜5ミリに伸して菱形に切って、茹で上げた檜枝岐の代表的な料理。
 “えごま”で作った{「じゅうねん味噌」を付けて食べる。
 ほんのりと甘く、もちもちした感じは、結構いける。
 あまりにも美味しいので、お祝いの時以外は食べることを禁止する 「御法度(ごはっと)」 令が出たことから呼ばれるようになった。

けえ餅

そば焼もち

 練ってから 「そばがき」 のようにして、熱いそば湯の中に入れて出される。 夏場には冷やしても美味しい。
 薬味を入れたタレに、浸けて食べる。
 香りが高く、上品な一品である。
 麺にする以前に、そばを食べる時の原形といわれている。
 こってりした料理に囲まれている現代、そばそのものを味わえて、意外と美味しい。

つめっこ

そば焼もち

 季節の山菜や旬の野菜を入れ、味噌仕立てにした蕎麦粉を練った団子汁で、「そばすいとん」のこと。
 「ちぎる」ことを、方言で「つめる」ということから。
 蕎麦粉を熱湯で柔らかく練って、手でちぎって入れるところから呼ばれている。
 「つめえり」、「みそうず」 と呼ぶところもある。
 ダシには、身欠きにしんや塩クジラ、鶏肉などを使う。
 今では、豆腐など好きな物を入る家庭も多い。

そば焼もち

そば焼もち

 季節の山菜や旬の野菜、納豆、小豆などを、練った蕎麦粉の皮で包み、焼き上げたもの。
 昔は、囲炉裏の灰の中に入れて焼いた。
 現在では、“こしあん” などを入れた甘いものが好まれているようだ。

≪あん入焼もち≫
 そば焼もちとほぼ同じだが、味付けは濃い。
 漬物ときのこ、漬物と塩クジラ、漬物とおからなど漬物と炒めた物を入れることが多い。
 甘いものでは、小豆のほか、山グミの実なども入れる。
つめっこ焼き
≪つめっこ焼き≫
 会津美里町では、名称を付けて町おこしに利用している。
 ねぎとなすの辛し味噌、くわの葉とじゅうねん味噌、会津地鶏と蕎麦の実、ゴマあん等があり、「きのこづくし」 も人気のようである。 季節による種類もある。

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